Song For You

□君のすべてを
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オレのどこが好き?…なんて。

いきなり聞かれて答えられるヤツの方がどうかしてる。

…そう思うのはオレだけなのか?



「ねー…阿部ってば」

「……」

「阿部ー…あべぇ…」

「…るさいな、黙ってろ」

「む…なんで怒るんだよ」



ちょっと聞いただけじゃん。

そう言って拗ねたような顔をする。

阿部のバカ…なんて言って、そっぽを向く。


こうなると、しばらくは何を話しかけても答えない。

いつものことだ。



「…おい、水谷」

「……」

「おいってば…」

「……」

「……そういうとこ」

「……」

「…そういうとこが…好きだ」



ボソッと独り言のように呟くと、勢いよくこちらを向いた。

その顔は、驚いたような呆気にとられているような顔で…。



…そんな顔も、可愛いとか思ってしまうオレはどうかしてしまっているに違いない。





「…阿部って…怒ってるオレが好きなの?」

「…いや?怒ってるときの顔も、って意味だよ」

「ふーん…」



興味なさそうな反応をするも、その顔は先ほどまでとは違って緩んでいる。

すぐ顔に出るとこも…実は結構気に入ってる。

…コイツには、絶対言わないけど。




「ね、じゃあさぁ…ほかには?」

「…調子にのるな。バカ」

「えー…いいじゃん、もいっこだけ!」



そう言って腕にじゃれついてくる水谷を軽くあしらいながら歩く。

しつこくねだってくるものの、それ以上は無理に聞こうとはしてないこともわかってる。

オレの答えに満足したのだろう。

幸せそうな水谷を見て、オレも思わず笑みがこぼれる。





好きなところ、なんて。

すぐに答えられるヤツの方がどうかしてる。



好きなところなんて…すぐにはいえないくらい、たくさんあって。

簡単に言葉にできるもんじゃない。



なんて…本人には口がさけても言えないけれど。




怒った顔も、笑った顔も、泣いた顔も。


すべてが…愛しい。






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珍しい阿部デレ話(笑)
リクエストいただいて書きました。
歌は「黄身.の隙な.とこ」です。
んー…ほんとうはもっと好きなとこを挙げていきたかったんですが。
阿部はあんまり言いそうにないということで、このくらいで(笑)

こんな話になっちゃいましたが…いかがでしょうか…;;
リクエスト、ありがとうございました〜!







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