abemizu 100
□007 自己中人間!
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自分の思い通りにならないと気がすまない。
昔から、結構そういうヤツだったと思う。
思い通りにいかないとイライラするし、冷たくあたることもある。
自分さえ良ければそれでいい、なんて。
そんなふうに考えてた。
アイツに、出会うまでは。
ころころ変わる表情、同じようにすぐ変わる機嫌。
寂しがりで甘えたで…ヤキモチ妬きで。
誰にでも簡単に好きって言えて、誰にでもすぐに懐いて。
オレの思い通りになんて、ひとつもならない。
今までは自分が中心だったのに、今はアイツが中心で。
オレの全てで…。
「阿部、なんか変わったね」
久しぶりに会った中学の友達にもそう言われた。
昔のオレなら、きっとアイツに振り回されたらすぐにキレてただろう。
自分でも、変わったな…と思う。
「…人って変われるんだな」
「え?なんか言った?」
テレビを見ながらぽつりと呟くと、隣に座っていた水谷がこちらを向いた。
「…いや、なんでもない」
「へんなの」
思わず呟いてしまった言葉に苦笑いが洩れる。
水谷は肩を竦めておかしそうに笑った。
恋は人を変える。
くだらないと思っていたけど。
今なら、納得できる気がした。
コイツが、オレの、全て。
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お題007番「自己中人間!」
過去形ですが…阿部って結構自己中なとこあるかなってことで。
恋は人を変えるんだ、ってお話。