君がくれたモノ本編

□第三章
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俺は地上界へ行く前の記憶がない。
春妃は地上界へ行く前のことを話始めた。
俺は天界にいた幼い頃、神彪の間という部屋にいたらしい。
もちろん神彪の間のように、名前がついた部屋に入れるのは正天使の五人と大正天使の二人、計七人のみだった。
その中で、神彪の間は第一級大正天使の春妃と弟の俺との部屋だったらしい。

俺はベットで眠っていた。
「お〜い! 春姫!!」
俺を起こす声が聞こえて、俺は目を覚ました。
その声の主は俺の兄、そしてこの部屋の主、第一級大正天使の春妃だった。
「あぁ〜。 春妃、おはよう。」
「おはようじゃねぇ!! 今何時だと思ってんだ!」
「いま? 十時ぐらいじゃないの??」
「ちげ〜よ、もう二時だ! 式典に遅れちまう。早くしたくしろ!!」
「あっ、うん。」
俺は式典用の服に着替えた。
しかし、春妃はもうとっくに着替えを終えていた。
そんな時に部屋のドアをノックする音が聞こえた。
俺はすぐに着替えを済ませ、ドアを開けた。
「春姫、春妃したくは整いましたか?」
開けたドアから入って来たのは、第二級大正天使の都織だった。
「都織さん。 こんにちは。」
「こんにちは、春姫。 さあ、式典が始まってしまいます、急いで下さいね」
「は〜い。 行こっ、春妃。」
俺は春妃の腕をつかむと、その腕を引っ張りながら神彪の間を出た。
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