拍手のお話
□寒い日シリーズ
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富松 作兵衛
『あれ?今日も委員会?』
「お、おう、そうだけど…」
『手伝ってあげよーか!』
「え、い、いいって!これくらい俺一人で…!」
『はい、釘打ちましょー』
「…わ、わかった」
この間七松先輩だかだれかの仕業により、倉庫の壁に大穴があいたので
用具委員会の俺は寒い中それを補修する事になってしまった
たぶんアタックしたボールが当たったんだろう、ポッカリ綺麗に空いている
俺は右手にトンカチ、左手に木材を持って
釘を咥えて木材を打ち付けていく
『おーおー、さすが上手いね!』
「まあ、いつもやってんからな」
『こうやって釘咥えてるとさあ』
「ん?」
一本ずつ釘を渡してもらいながら
不意にこう言われた
『職人さんみたいで、かっこいいよね』
「こっ、こ、これくらいで格好良いとか言ってんじゃねーよっ」
『ホントだよ、ホントにかっこいい』
なんて言うか体に悪い…いや、心臓にか
ふんわり、と色気を含んだこの笑顔を見るだけで
言葉では言い表せないくらいに
心臓が、鼓動が、高鳴ってしまう
「…なっ、ば!馬鹿やろう!///」
『うふふ』
赤くなるな、俺の顔
赤くなるな、赤くなるな、赤くなるな
落ち着け、落ち着け、落ち着け!
もう呪文の様に唱えながら釘を打っていくと
ある程度心臓の高鳴りも収まった
しかし、そうなると外の寒さが見る見るうちに帰ってくる
ちっ…手が冷てぇ
「…ふう、さすがに外だと寒いな」
『…へーき?』
「これくらい、どうって事…」
『あ、ホントだ。手冷たい』
「…な、な、な、な…!!///」
『かわろうか?』
俺の冷たい手を両手で握りながら
きょとん、と言う目をして
首をかしげながら聞いてくるコイツに
目が離せなくなった
か、か、かわいいじゃねぇか…!!
しかし、その表情よりも何よりも
手を握られている、という事実に同様を隠しきれない
手、小さいんだ、それに柔らかい…って!
こんなやましい事考えるな、俺!!!
「男はこれくらいの寒さ、どうって事ねぇんだ!」
『うふふ、かっこいいね作兵衛は』
「…っ!///」
『男の中の男、ってかんじ』
刹那、その綺麗な笑顔に一気に体が熱くなったのは言うまでも無い
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