拍手のお話

□寒い日シリーズ
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 神崎 左門



『さむいいい〜!し、しんじゃう…!』


朝には池の水も凍るような、今日の寒さに耐え切れず
凍える手足を擦りながら、なんとか部屋に着いた私は
あらかじめ暖めておいた自室のコタツに入り込んだ


『…どはああ〜っ、このぬくぬくがいのよね〜』


冷え切った体を包み込む、このコタツの暖かさと言ったら…
天国にも昇るような気持ちよさ


『もう外なんか一生出れない…いや、出ない。』


ガララッ


『さむっ!!』

「こらー!!お前は何、こんな所に引きこもっているんだー!」

『さもんー!お前こそ何、部屋開けてんだー!』

「やっと此処に辿り着いたんだ!外で遊ぶぞ!」

『無理!早く閉めなさい、寒いじゃない!』

「子供は風の子って言うだろう!」

『・・・』

「私と一緒に遊ぶんだ!」


この我侭迷子小僧…
これじゃあ、何言っても通じないわ


『じゃあ左門、私とお話しよっか』

「お、ようやくその気になったか!」

『ただし、この部屋で。』

「…そうか、わかった!」

『はい、戸を閉めたらおいで〜』

「うむ!」

『あー、寒かった!!』

「おー、確かにあったかいな!」

『そうでしょ…って、アンタ、足!冷たいじゃない!』

「そうか?」

『つめた…!ちょっ、近づけないでよ!』

「お前の反応、ほんと面白いなー」

『…もう、ずっと外に居たんでしょ』

「まあ、ずっと探してたからな!」

『え?ずっと、って…私を?』

「ああ、そうだ」

『…ごめんね、寒かったでしょう』

「いいや、そんなでもなかったぞ」



胸がきゅう、っと締め付けられた
私が此処に居る間も、ずっと探してくれてたんだ
…ばか、こんな寒いなか無理しないでよ



『ミカン、食べる?』

「うむ、むいてくれ」

『…わがまま。』


でも、貴方の笑顔があるだけで
私の心はぽかぽか温かいです


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