言葉にできないしあわせを

□土井先生の家(後編)
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その言葉を皮切りに、またどうしようもなく唇を重ね合わさた。
本当は振り回されてるのは私のほうじゃないのだろうか。
あんな表情で、あんなに可愛いことを言うなんて、一体いつどこで誰に教えこまれたのか。
彼女の本能なのだとしたら、これから先本当に私の心臓のほうがもちそうにない。



『…ん、ん、っ』



ちゅ、ちゅ、と飽きることなく合わせる唇。
こんなに恥ずかしがっているのに、彼女もこれを望んでいたんだと思うと胸が熱くなる。
顎を掴んで逃げられないように、激しくその行為を続ける。



「んっ、名前さん…、名前さん 」

『は、んすけさ…はっ、ん』



半助さん、と私の名前を呼び返そうとした時に、彼女の唇と唇の間に舌を滑り込ませた。
初めてのことにビクリと目を見開いて反応する彼女。
おろおろと逃げる舌を追いかけて、絡める。
彼女も最初は抵抗を見せたけど、次第に目をキュッと瞑って、私の舌に自分の舌を合わせるように動かしているのがわかった。
どうしようもないくらい、可愛い。



『やあっ、も、っ』

「もっと?」



唇を離して息がかかるほど近くで聞くと、びっくりして言葉も出ずふるふると首を振る彼女。
たまらなくて思わず首筋に唇を寄せて、彼女の甘い匂いをいっぱいに肺にいれこんだ。
こんなに彼女の近くに居れるのも、彼女のこんな反応を見れるのも私だけ。
首筋に口付けながら、さり気なく手を動かして、誰も触れたことのない柔らかな膨らみに…。



『ひゃああっ』

「わああっ」











「すいません…、暴走しました」

『…あやまらないでください』



くたくたと、腰が抜け、その場に座り込みそうになった彼女を居間へ運ぶ。
俗に言う、お姫様だっこだ。


『先生がかっこよくて、ど、どきどきして、わたし、…しんじゃうかとおもいました。』


きゅっと、私に寄り添いながら、震える声でたどたどしくそう言う彼女。
名前さんのどきどきとした鼓動も息遣いも全部が伝わって愛しさのあまり切なくなった。



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