長編

□委員会をお手伝いB
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保健委員会

別名は、不運委員会

私は今日…
その委員会のお手伝いをすることになっている


『不運ってなんでだろう?ちょっと怖いな…』


心配しながらもおそるおそる保健室に足を踏み入れると
そこには一年ろ組の伏木蔵くんがちょこんと座っていた


「あ、名前さん…こんにちは」

『伏木蔵くん、こんにちは』

「怪士丸から聞きましたよ、委員会活動を手伝っているんだって…」

『うん、お手伝いしに来たんだけど…皆まだ来てないの?』

「はい…どう言う訳か僕だけです」

『ど、どうしたんだろうねー…』


伏木蔵くんは、何かあったんですかね…
と意味有りげな発言をするもんだから
私は余計怖くなってしまった
恐るべし不運委員会…








『伏木蔵くん、暇だね』

「そうですね、名前さん」


さっきからこのやりとりを繰り返している
他の皆はなかなか来ないし
何より、伏木蔵くんと何を話せばいいか分からない
とにかく、このシンとした空気が嫌だった


『伏木蔵くん、暇だから…抱っこさせて。』

「え・・・・」


最近、一年生を抱っこするのがマイブームになっている
だって可愛いんだもの、しょうがないでしょ?
抱っこさせて、と言われた伏木蔵くんの顔は見る見る赤みを帯びてきて
いつもの一年ろ組の顔色の悪さなんて嘘みたいだ


『こっちに来て、いっぱいお話しよ?』

「え、でも…」

『嫌かな、ごめんね…』


なかなか来てくれない伏木蔵くんを見ると、ちょっと悲しくなった
そんなに嫌われてるのかな…


「っ!…」

『わっ』


悲しい顔をしていたからか
心配になったからか
伏木蔵くんがギュッと抱きついて来てくれた


「名前さん、泣いてる…?」

『ううん、泣いてないよ。ありがとう』


伏木蔵くんは私が泣いているように見えたようで
心配しながら私の顔を覗き込んで来た
私が泣いてないのを確認すると安心したのか、笑ってくれた


『お話しよっか』

「はい、しましょう」


今はもう私のほうに寄りかかって来てくれていて
私も、安心した
嫌われてるわけじゃ、ないよね?
最初はどうなるかと思ったが
伏木蔵くんは意外にたくさんの事を話してくれた


『斜堂先生はそんなに潔癖症なの??』

「はい、いつも消毒液を持っているんですよ?」

『うふふ、斜堂先生もろ組の子も大変なんだね』

「はい、バッチイ物は触っちゃいけないんです」

『そうなの?綺麗好きはいい事だけどね』

「いい事です」

『は組の子も綺麗好きになってくれればいいんだけど…そういえば乱太郎くんもまだ来てないね』


伏木蔵くんと長い間お喋りをしていたが
一向に誰も来る気配が無い
どうしたんだろうと本当に心配になってきた


「いつもなら早いのに…」

『私、探しに行って来るよ』

「じゃあ、僕も…」

『伏木蔵くんはここにいて?皆来るかもしれないから』

「はい……」


しかし、その選択が不運を呼んでしまったのである


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