□クリスマスの夜には
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†紫苑side†
今日はクリスマス。僕はストーブの前で本を朗読しながら、ネズミの帰りを今か今かと待っていた。
時間は刻々と過ぎていく。しかし、いくら待ってもネズミは来なかった。
そして、ついに12時。もう寝よう、と諦めかけたその瞬間。
バァーン!!
荒々しく扉が開いて、息を切らしたネズミが入ってきた。
手に、なにやら荷物をもっている。
「あ、ネズミ。お帰り。」
無理矢理笑顔を作ると、僕はネズミに声をかけた。
「遅れた。ほら、ケーキ。」
差し出されたのは、少々形の崩れたチェリーケーキ。ネズミの手作りらしい。
─ネズミが僕のためにケーキを。
本当に嬉しくて、満面の笑みを浮かべる。
「わぁ、ありがとう!今皿とフォーク持ってくるよ!」