□愛と嫉妬と
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†イヌカシside†
「イヌカシー!おはよう!」
朝の冷気と自らの体温で頬を赤くした紫苑が、笑顔でこちらに走ってきた。
「お前さん、今日は早いんだな。」
何時もより早く来た紫苑に、そう問いかける。
紫苑は既に赤い頬をさらに赤くし、俯いた。
「ネズミが…。」
「ネズミ?」
─ネズミがどうしたっていうんだ?
そう続けようとした言葉をぐっとのみこむ。
聞くのが怖くなったのだ。
最近俺は、紫苑を目で追いかけるようになっていた。
いつも紫苑の側にいるネズミに嫉妬したりもしていた。
それが、何の感情なのかはわからない。
なんせこんなことは初めてで、この俺が戸惑っているぐらいだ。
そんな事を考えていると、紫苑が何かを呟いた。
「……た。」
「えっ?」
「…セッ、クス…した…。」
それを聞いた瞬間、頭にカァッと血がのぼり、気付いた時には紫苑を押し倒していた。