短編
□空上の鳥
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「またサボってんの?隼人」
屋上で煙草を吸いながら寝っ転がっている隼人に呆れながらそう言った。
「ほっとけ」
素っ気なく返された。こんなんでも私の彼氏だ。
「別に連れ戻しに来たわけじゃないよ」
隼人の横に腰掛けながら言った。
「……そうかよ」
隼人は至極どうでも良さそうな顔をしながら空を見続けていた。
私もそれに倣って隼人の横に寝っ転がり空を見た。
「良い天気だね」
「そうだな」
雲一つない快晴。久しぶりに見た空はとても青かった。
「あーぁ、私もあの鳥みたいに空飛びたいな」
そう言った後、手に暖かいものが重なった。
驚いて見てみると隼人の手が私の手を包んでいた。
「隼人?」
「……」
何も言わず黙りこくる。
そんな隼人を見て私は思い付いたことを言ってみる。
「私が遠くへ行っちゃいそう思った?」
「――ッ馬鹿かお前!勝手な妄想してんじゃねぇよ!」
そんなに顔を赤くして言われても……
説得力がないよ
(私はどこにも行かないよ)(ずっと隼人の傍に居てあげるから)(……けっ)