marionette

□冷たい眼差しは何を映す?
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何故だろう。
何故、そんな眼で俺を見る。
答えてくれ、ルーク……
 
 
 
【冷たい眼差しは何を映す?】
 
 
 
アクゼリュス崩落後、最初こそ今までの失態を取り戻そうと奮起していたルーク。
だが、いつしか冷たい目をするようになった。
俺が会いに行けば、俺より少し薄い翡翠の瞳は冷たく煌めく。
綺麗でいて、恐ろしい。
何故?
訊いたところで答えはいつも同じだった。
 
 
『お前なんか大嫌いだ』
 
 
俺はルークに何かしたのだろうか。
わからない。
自分の言動を省みても、思い当たる事は沢山あった。
けれど、ルークはそんな俺に対していつも真っ直ぐ向かって来ていた。
俺は、そんなルークが鬱陶しくも好きだったのだ。
何故、突然そんな事を言い出したのか。
何故、そんな冷たい目で俺を見るのか。
何故、俺が悲しい目をしたらそんなに傷付いた顔をするのか。
それは、矛盾していて、混乱させる。
諦められず、また同じ問いかけをすれば、答えは冷たく拒絶された。
 
 
『俺に構うな!二度と話かけんな!消えろよ!』
 
 
何故、どうして、わからない、悲しい、ツラい、苦しい……
レムの塔で、文字通りルークの願いを叶える為に、消える覚悟で俺は向かった。
沢山のレプリカと共に、障気の中和を行う為に。

だが、そこにルークたちが駆けつけて来た。
俺を止め、俺からローレライの鍵を奪っていく。
愕然とする中、それは目の前で起こった。
ルークが俺の代わりにレプリカたちと障気を中和する。
 
 
「何故だっ、離せ!ルーク、ルークっ!」
 
 
悲しげに微笑むルーク。
お前は、この為に俺を拒絶したのか。
あの冷たい眼は、俺を拒絶して突き放す為だったのか。
納得出来ない。
ルークの元に行きたいのにジェイドが邪魔をする。
こんなときまで憎々しい奴だ。
俺から手を離せ、陰険ロン毛眼鏡。
俺に触れていいのはルークだけ。
 
 
「離せぇぇぇぇ!!!」
 
 
こんなところで失うなんてゴメンだ。
まだ、伝えていない事がある。
それを伝えるまで、立ってる場所は違えど心は共にあるはずだったのだ。
何故俺から愛する者を奪って行く。
ローレライよ、ヴァンよ、そんなに俺が憎いのか。
振り回され、陥れられ、全てを手から水が零れ落ちて行くようにすり抜けていく。
何一つこの手で掴む事すら許されない。
お前は、そんな俺を許してくれたのではないのか。
どうか、この問いかけに答えを。
この願いに救いを。
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