跡観

□これを お前に
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卒業式が終わった後、観月は跡部の部屋に呼ばれていた。 「何だろう?僕に渡したいものって?」 観月はしばらく跡部のベッドに腰掛けて待っていた。ドアが空いて「観月、待たせたな」と跡部が入ってきた。「ご苦労さまです。跡部くん。あの、今日、僕に渡したいものって‥ 」「ああ、これなんだが、」跡部が照れたようで真剣な目で観月に紙袋を渡した。観月が中を見ると、そこに入っていたのは紛れもなく跡部がいつも着ていたテニス部のジャージだった。
「あ、跡部くん!これ!」観月は驚いた。「ああ、お前に持ってて欲しいんだ」 「い、 いけません!こんな大事なもの。 これは跡部くんの努力と思い出が詰まった大事なものじゃないですか!」観月は跡部を見上げ、とても受け取れないと目で意思表示した。
「ああ、俺の努力が染み付いた大事なものだ。だからこそ、お前にやりてえんだ。これは俺がいつも身につけてたんだから俺みたいなものだろ?見る度に俺が近くにいるようだろ?観月は俺の大事な恋人だ。お前にはこれを持ってるだけの資格があるぜ。」跡部はジャージを持つ観月をそっと抱き寄せた。観月は跡部の胸に頭をコツンと預け、ジャージをきゅっと握った。「ありがとう‥ございます‥。こんな大事なものをもらえるなんて…、僕、大事にしますから…」観月は目に涙を浮かべながら微笑んだ。跡部は観月を強い腕の中に抱きしめた。
「なあ、ルドルフもいいが、これからは俺のマネージャーもしてくれるんだろ?」跡部が自信に満ちた表情で観月に問う。意味がわかった観月は幸せそうに笑顔で答えた。「はい‥ もちろん#」跡部は 観月の前髪と唇にキスを落とした。
 

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