Short box

□タツナミソウ
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「ねぇ…ザクス」



紅茶を淹れながらする話ではないけれど、思い切って訊ねてみた。




「ハイ、何でしょうカ?」



いつもとなんの変りも無い綺麗な笑顔で振り向いてくれた。

其れが無性に恋しくなって、切なくなって、でもこれから話す話の事を思うと……胸がとっても苦しくなった。




「前から聞こう聞こうとしてたんだけど・・・。

ザクスが一年ももう生きられないって、本当なの?」




キュッと目を瞑りながら聞いた。

だって、まっすぐ前を向いていたら、何だかザクスが笑顔じゃなくなるんじゃないかと思ったから。




「………誰に聞いたんだイ?」




少し間を置いて、ギルバートだよと教えた。

するとザクスは、後でお仕置きしてあげなきゃなりませんネだなんて呑気なことを言っていた。



「ねぇ、本当なの?」



少し急かして言ってみた。

するとザクスは、おいでおいでと私を手招きし、されるがままに抱き寄せられた。


私はザクスに抱きしめられてるこの時間が、とても好き。

彼が私を必要としてくれていると感じるから。

・・・そして、ザクスがちゃんと居るのだと確信できるから。


暖かくて、居心地が良い。





「確かに、私はもう一年も持ちません」



「そんな…!」



私が取り乱すと、ぎゅーっとザクスが力を入れて抱きしめてきた。


・・・ずるい。私が此れに弱いのを知ってる癖に。




「私はもう一年持ちませン。でも、簡単にくたばってもあげません」


「………………」



「第一、私の泣き虫な彼女を置いてさっさとあの世へ逝くなんて無責任なことはしませんヨ」



「………ザクス・・・ッ」



「でも、君は後悔しないんですカ?」



珍しく、少しだけザクスの声が弱弱しくなった。


―後悔、なんて今さらあるわけない。




「私はザクスと一緒になると決めた日から、とっくに覚悟なんてできてるんだよ」



真っ直ぐ彼の視線に交じり、泣きそうになるのを堪えながら確かな言の葉を繋いで云った。

そう、覚悟なんて、とっくの昔からできていた。

その決意は、今も昔も変わらず硬い。





「私は、少なからず君より先に死んでしまうんだ。
残された悲しみは、私にもわかりまス。
だから、この関係を断つなら今のうちダヨ?」





そんな悲しいこと、言わないで。





「だったら、《貴方に命を捧げます》

だからザクスが死んだら、私も死ぬんだよ」





それだったら悲しくない。

むしろ本望というもの。







「だからその日まで、一緒に生きてください」










とうとうザクスと絡ませていた瞳から、大粒の涙が溢れてきた。

悲しくて流しているんじゃない。




「おやおやァ。やはり君はいつまで経っても泣き虫ちゃんですネェ」


よしよしと頭を撫でるザクスの手が、また愛しくて。





「ザクスが、恋しい 恋しいって言って流してるんだよ。この涙は」




ね?と言って、涙を流しながらも自分的に最上級の笑顔を見せた。




「…ククッ 全く、君と言う人は」




そう言ってザクスも、優しく私に微笑んでくれた。










 タツナミソウ〜貴方に命を捧げます〜





(命が尽きるその日まで)


(貴女を全力で)


(愛しましょう)







END


―――――――――――――――


はい、花言葉拍手夢第3段(くらい←)


今回は今大ブレイクなブレイク夢でした!
(ギャグじゃない、ギャグじゃない…)
パンドラもメインに加えたので、何か書かないと不味いなぁと思い、書きました!



そして今回は、花言葉だけで花そのものは出てきていないという事実が発覚!←

だってタツナミソウは4月なんですよ?
季節外れにも程がある\(^o^)/←


そして、切甘にしようとしたところなんとシリアス甘に!!
ワオ、なんてこったい。


・・・…と、意味不明なところで切ります←


此処まで読んでくださってありがとうございました^^


よければ感想を書いて行ってくださいな♪

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