突発的
□いちご天然記念物
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昔は世界一不幸だと思った。父さんと母さん、妹がひき逃げで死んで天涯孤独の身となり、親戚中にたらい回し。
一つの転機が起きた。近所に住むお兄ちゃんが良き理解者になってくれた。当たり前、血は繋がっていない。
お兄ちゃんといると私は変われる気がした。
自分は人と違うと、特別なんだとこれは試練なんだと。
そう自分に言い聞かせた。すると前より自分が強くなれた気がした。そう、強く生きなければと。
「コーチー。終わりました」
「よし、神木はあがっていいぞ。帰れ」
お兄ちゃんは、テニスをしていた。だから、私も真似事のようにテニスを始めた。一緒にいたかったから。
恋だった、あれは。
テニスを始めると、頭角を表したのかどんどんスキルを上げていった。期待される喜び、私は期待されることがなにより嬉しかった。
お兄ちゃんは、私が小学生の低学年の時にテニス関係で引っ越した。
私も近づけるように頑張る。また会えると信じて。
(ねぇ、お兄ちゃん)(私好きな人できたよ)(アイツもテニス上手いんだ)
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