突発的

□いちご天然記念物
1ページ/6ページ

昔は世界一不幸だと思った。父さんと母さん、妹がひき逃げで死んで天涯孤独の身となり、親戚中にたらい回し。


一つの転機が起きた。近所に住むお兄ちゃんが良き理解者になってくれた。当たり前、血は繋がっていない。


お兄ちゃんといると私は変われる気がした。


自分は人と違うと、特別なんだとこれは試練なんだと。


そう自分に言い聞かせた。すると前より自分が強くなれた気がした。そう、強く生きなければと。


「コーチー。終わりました」


「よし、神木はあがっていいぞ。帰れ」


お兄ちゃんは、テニスをしていた。だから、私も真似事のようにテニスを始めた。一緒にいたかったから。


恋だった、あれは。


テニスを始めると、頭角を表したのかどんどんスキルを上げていった。期待される喜び、私は期待されることがなにより嬉しかった。


お兄ちゃんは、私が小学生の低学年の時にテニス関係で引っ越した。


私も近づけるように頑張る。また会えると信じて。


(ねぇ、お兄ちゃん)(私好きな人できたよ)(アイツもテニス上手いんだ)



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ