突発的

□異世界トリックトリップ
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(病室でのこと)


早瀬月。


夏休み初日に起きた事件。


不運なことに、黒主優姫、錐生零と旅行中に車と車の接触事故にあってしまった。


零と優姫の2人は、危険な状態だったが無事助かった。


「零!ゆっきーっ!」


「「理事長!」」


痛々しい2人に涙ぐむ理事長をよそにまたドアが開く。


「入るぞ。零、生きてたみてぇだな。心配かけさせんな」


夜刈十牙。


「失礼します。優姫、無事で何よりだよ。生きていてありがとう」


玖蘭枢。


そして、枢の付き添いで英、暁、拓麻、千里、留佳、莉磨が後ろにいた。


「皆さん、迷惑かけてごめんなさい……」


優姫は、頭を下げる。


「理事長、ところで月はどうしたんですか?」


枢は、ここにはいない女の子の名前を言った。


「理事長、月は……?」


零も眉間にシワを作りながら問いかけた。


まさか……と、みんなの脳裏に嫌なモノがよぎった。


いっせいに、注目された理事長は唇を噛み締めこう言った。


「月ちゃんは生きてる。……今、集中治療室にいるよ」


「じゃあ……!」


優姫に笑顔が戻ったのもつかの間。


「意識不明なんだ……」




「え……?」


一瞬にして涙が眼にたまる優姫は震え上がる。


隣にいる零も拳を握った。


「もしかして、もう一生ッ……眼を開けないかもしれないんだぁ……」


「早瀬が、嘘よね」


留佳は、暁に同意を求めた。


「……嘘じゃないんだよ」


理事長は、静寂な部屋で静かに淡々と言った。


「生きているけど、月ちゃんは今……植物状態だ」


もう君は戻って来ない。


身体はあるけど起きてはくれない。


眼を開けてはくれない。


喧嘩してくれない。


笑ってくれない。


話してくれない。





もう一度名前を呼んで。



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