Normal

□不安
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『下剋上だ』


君を捕まえてしまいたい。
君をオレダケノモノニシテシマイタイ。
上を目指し続けていく君は、いつか消えてしまいそうで、君の細い手首を力強く握った。
君は顔を少し顰めたけど、俺の手を振りほどくことはしなかった。

そういうトコ、好きだよ。
ちょっとした君の言動に愛を感じられる。

好きだよ、好きでしょ。

わかりきってるよ、俺たちが好き合ってることくらい。
だけど不安になることくらいあるだろ?

学校も住んでる県も違ってて、あまり会うことが出来ないんだから。

本当は月一じゃなくて、週一、いや毎日でも会いたいけど、ずっと時間を共有していたいけど、
俺たちは自由ではないから、それは許されない。


君と離れている時、俺のココロは壊れてしまうんじゃないか、と思うほどキリキリと、苦しくて、痛くて、悲鳴をあげている。

俺から離れてしまうんじゃないか、見えない何処かへ行ってしまうんじゃないか、そんな不安に押し潰されそうになる。


ねぇ、君をチョウダイ?
言えれば、楽になれるのに。



「赤也、俺は・・・いなくならないから。」



くしゃ、と自由な方の手で俺の髪を撫でる君は、俺の心が読めているのか、と思うほど俺の言ってほしい言葉を的確に言い当てる。




俺の好きな人が
    君でよかった




不安になることも多いけど、優しい君が救ってくれるなら、それでもいいかなって思えるんだ。





Fin.
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