土銀テキストVer2

□36. 侵略
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 万事屋の布団は、狭い。
 土方は、何度となく泊まっているものの、まともに布団に寝たことがないと今更ながら思いながら身を起こした。

「ったく、こいつは」
「んー・・・」

 文句を言っても始まらない、銀時がこの部屋の主であり、布団の持ち主だ。
 どか、と蹴り出されてくしゃみで起きる。
 それが最近の定番だ。

 いっそもう一組布団を持ち込んでやろうかと思わなくもないが、そうしたところで今度は間に落ち込むのが関の山、夫婦のように眠るには、まだ時間も距離も遠い状態だ。

「しょうがねえな」

 銀時は、あんぐりと口を開けて眠っている。
 疲れ切った表情は、土方とのセックスの所為だ、いつだって彼は気を失うまで彼に抱かれて、そのあと風呂で目を覚ます。悪態をつきながらもなすがままになって、髪を乾かさずに寝てしまうのだ。

「悪いのは俺だからな、どう考えても」
「んー・・・っ」
「あん?」
「眠い・・・」
「は、」

 寝言。
 銀時は、苦しげに眉根を寄せて、薄っぺらいせんべい布団を抱き寄せる。
 抱き枕よろしく引き寄せて、ごろんと横に。

「ねーむーいー」
「寝てンのに眠いってか。ど阿呆が」

 土方は、手持ちの煙草に火をつけて、月明かりに照らされる恋人の寝顔に苦笑する。
 布団はとっくに奪われているけれど、寝返りをうった所為で半分くらい、場所があいた。

「やっぱもう一組、布団買ってくっかな…」

 とりあえずは、座布団を並べて。

 土方は、丁寧に煙草をもみ消すと、銀時を背中越しに抱き寄せた。

「ん……あ?なに・・・」
「布団寄越せ」
「ふとん?」
「寒い。…もすこし、寝るぞ」
「…ぁー」

 寝ぼけている銀時は、土方の言うことを良く聞いた。

 二人仲良く、掛け布団に収まって。


 肌を寄せて、もう少し残る夜に落ちた。



 おわり

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