□ふわふわり
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真庭忍軍が刀集めのために幕府を裏切ってから幕府は裏切り者の真庭忍軍を捕まえようと躍起になっている。そして忍者を探す時だけではなく、大抵人を捕まえようとする時はその本拠地となるところから叩くだろう。
幕府も同じである。ただし、真庭忍軍は忍者の集まりである。簡単に、とはいかなくても旧・真庭の里を捨てても新しい里を作る事は出来た。幕府が叩こうとした真庭の里には既にそこの住人たちは痕跡一つ残さずに立ち去っていた。


ーーーそれでも何かを捨てる事は、或いは、失う事は、大きな代償が必要だった。 




一人だった。
川獺は旧・真庭の里にいた。
本当は幕府の人間が万一に備えての無意味な見張りを続けているので、近づく事は禁じられていた。頭領級のしのびでも同じだった。
しかし、そんな人間に見つかるような川獺ではなかったし、・・・・そんな理由で規則を守る川獺でもなかった。
でわ、 川獺が旧・真庭の里に来た理由は?
一言でいうとそれはーーー

「思い出、かぁ」

川獺は自嘲の笑みを浮かべる。
自分も女々しくなったもんだ。そのためだけにここへ来たのだから。
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