□ふわふわり
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川に沿って細い道がある。そこはかつて真庭の者しか通らなかった所だ。しかし今はもう違う。不自然に曲がってたり、所々切られている草木がそう告げている。きっと、里の中心部はもっと酷いのだろう。

幼い頃から見慣れた風景が汚されている、と感じた。
それでも、戻る事は出来ない。許されない。

川獺は周りを見ぬように、どうしようもなく変わってしまったこの場所から目を逸らして、ある場所へと歩みを進めた。

そこは真庭の里の端にある野原だった。
変わらない。
そう、思った。
あの時と変わらない。

川獺は真ん中に点々とある岩の一つに近づき、そっと触れる。そして他の岩にも同じ事を繰り返した。

「・・・・見つけた」

暫くしてから川獺はある岩の前で立ち止まり、しゃがみ込んで地面を掘り始めた。ある程度掘った後に立ち上がった川獺の手にはーーー箱が抱えられていた。
粘土製で密封状態なので、割らなければ中身は出ない仕組みである。大きさはさほどなく、川獺の腕に収まっている。
川獺はそれを大事そうに抱え、想いを読む。
さっきまで岩にしていたのと同じように。

「・・・・忍法、記録辿り」
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