女夢
□過去拍手集
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冷たくても
大きな背中
私はそれが大好き
愛しい背中
「柚子、遠くにいって迷っても私は知らんからな」
「酷いですよ、兄様」
私は久しぶりに執務が滞りなく済み、むしろ逆に余裕が出来たということで兄様こと、司馬仲達と遠乗りに来たわけです。
でも、兄様は乗り気じゃなかったので、白い顔にさらに不機嫌を追加したような色に…。
ああ、なんて恐ろしい顔。
「…もういいですよ。私だけで楽しみますから」
何にも心配なんてしてくれないなんて、酷い。
でも、仕方のないことなのかもしれない。
私が武将であるから。
「おい、そっちは」
知りません。
注意か知らないけど兄様の声が背にかけられた。
でも、私はイラついてるから、逆にそれがイラつきを増幅させることになった。
ガラッ
え?
まさか、崖!?
「キャー」
兄様の制止を聞かなかったからこんなことになったんだ。
私は自分の行動を深く悔いた。
* * *
冷たいけど、あったかい。
それになんだか懐かしい感じがする。
ゆっくり目を開ければ、そこに映ったのは紫。
「兄様?」
「煩い、黙っておれ馬鹿めが」
その台詞、確かに兄様ね。
それに兄様におんぶしてもらうなんていくつ振りかしら。
「全く、人の制止を聞かんから足を捻るはめになるのだ」
「ごめんなさい」
兄様は足を捻った私を労っておんぶしてくれてるんだ。
私はそう思うと無性に嬉しくなった。
「…ありがとう」
「フン、次からは気をつけることだな」
やっぱり、兄様は大好き。
どこにいても、助けに来てくれる愛しい兄。
「大好き」
「勝手にいっておれ」
広いとは言えないけれど、男らしい背中。
やっぱり、安心できる。
本当に守りたい人。
終
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かなり突発的なものなんで、文がおかしいところもあるかも。
08/11/16