気持ち〜Heat〜

□決闘
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さすがに、隣国の王子が戦うというので、
会場はいつもにまして混雑していた。
この国一番の競技場での決闘だ。
さすがのユウリも、この場の雰囲気に押され気味だった。
が、イヨリの事を思い出し、無駄な考えは捨て、
試合のことだけを考える事にした。
すると、周りが一気に静かになり、
審判員の声だけが鮮明に聞こえた。
同時に隣国の王子が入場してきたのだった。
会場は一気に盛り上がりを見せるかと思ったが、
一瞬でどよめきに変わった。
何と、隣国の王子と、
自国の代表であるユウリの顔が瓜二つだったのだ。
これには、当の本人たちでさえも動揺を隠しきれなかった。
まるで鏡を見ているかのようだった。
だがすぐにその理由は判明した。
隣国の王子、
都芭灑(ツバサ)が語りだしたことによって。
「そうか、あなたがユウリか。ボクの兄さん。
本当にそっくりだね。
まぁ、双子だから当たり前なのだろうけれどね。
この場で兄と再会し、戦うなんて運命としか言いようがないな」

その言葉と同時に試合は始まった。
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