あの部屋に

□プロローグ
1ページ/5ページ

ふと見上げたある窓。
何もない殺風景な部屋が見える。
カーテンすらかけられていないその部屋。
空き部屋なのだろうかとも思う。
人の気配はなかった。
だから尚更そう思うものだろう。
少しだけその部屋の窓から目を離し、
私はまたその窓を見上げてみる。
するとそこには人影があった。
さっきまで気配すら感じられなかったのに、
いつの間に現れたのだろうか。
驚きを隠せない私。
そして惹き付けられた。
そんな不思議な、奇妙なことを体験した私は、
確実にその部屋が気になりだしていた。
私の足は勝手に、あの部屋へ向かっているらしかった。
魔法にでもかかったみたいに。
行ってはいけない。
そう理性は告げていた。
けれど足はいうことを聞かずに、
ただ歩き続けた。
そしてとうとう
あの部屋の前まで来てしまった。
ドアに手が伸びる。
と、
ドアに手をかける前に
ドアが開いたのだ。
そこには私と同じくらいであろう青年が
ドアを開けて立っていた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ