戦国
□その忍、春嵐につき。
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その日、奥州では二人の武将が手合わせをしていた。
「うぉぉぉ!」
「ha!やってくれるじゃねぇか!」
熱き戦いのその裏で…―――密かな春は始まっていた…
「右目の旦那ーっ!何してるのー!?」
裏庭…というには大きすぎる畑に小十郎はしゃがみこんでいた。
「右目の旦那ー?」
大声で叫ぶその声に、小十郎はやっと気づいた。
「だん…」
「何だうるさい…」
「ぎゃぁぁ!ちょ、折角人が手伝おうと思ってるのにその態度はないでしょ!」
驚いた拍子に小十郎のほうへと倒れこみ、小十郎に抱えられる。
しかし佐助は何も思っていないのか文句を並べてゆく
「わ…悪かった」
その剣幕に圧倒され、謝る小十郎
「…で、何するの?」
先ほどの文句と打って変わって見上げられる形となった無垢な笑みに小十郎は怒りを通り越して呆れた。
「はぁ…そこと…そこの種まきだ…」
眼前に広がる畑を見て、佐助が一言
「広いのねー。。」