書棚〜種運命B〜
□One way…
1ページ/1ページ
―…この世界に神様が存在するのなら…
One way…
「ぁっ…居る…///」
グラウンドを元気に走り回る姿が、探さなくても目に飛び込んでくる。
夏の陽射しに照らされて、焼けた肌に光る汗。
ゴールを決めて、ガッツポーズと全開の笑顔。
「ふふっ…可愛い…」
…もう、何ヵ月こうやって見続けているだろう。
図書室の窓辺でグラウンドに居る彼の姿を見つけた、あの日から。
学年もクラスも知らない。
ただ、サッカー部のFWで“シン”と言う名前。
それだけは、部活の様子から判っていた。
不思議だけど、校舎の中では一度も会ったことが無くて。
毎日、放課後の図書室から一方的に僕が見ているだけ…
「…シンくん…///」
チームメイトとじゃれ合う楽しそうな後ろ姿に、小さく呼び掛ける。
「シン…くん…」
届かない声。
だけど、いつか気付いてくれるように。
「…シン…」
その背中に送り続けるよ…
「シンっ…」
…この想いを…
…この世界に神様が存在するのなら
この想い届けてください…―
-fin-