書棚〜種運命B〜

□One way…
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―…この世界に神様が存在するのなら…





One way…





「ぁっ…居る…///」

グラウンドを元気に走り回る姿が、探さなくても目に飛び込んでくる。
夏の陽射しに照らされて、焼けた肌に光る汗。
ゴールを決めて、ガッツポーズと全開の笑顔。

「ふふっ…可愛い…」

…もう、何ヵ月こうやって見続けているだろう。
図書室の窓辺でグラウンドに居る彼の姿を見つけた、あの日から。
学年もクラスも知らない。
ただ、サッカー部のFWで“シン”と言う名前。
それだけは、部活の様子から判っていた。
不思議だけど、校舎の中では一度も会ったことが無くて。
毎日、放課後の図書室から一方的に僕が見ているだけ…

「…シンくん…///」

チームメイトとじゃれ合う楽しそうな後ろ姿に、小さく呼び掛ける。

「シン…くん…」

届かない声。
だけど、いつか気付いてくれるように。

「…シン…」

その背中に送り続けるよ…

「シンっ…」

…この想いを…





…この世界に神様が存在するのなら

この想い届けてください…―


-fin-
 
 

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