書棚〜種運命@〜

□困惑と不安
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「うん。シン君が…キス、してくれたから」
「ぇっ、ぇぇっ?!…」

俺が強引にしたキスが解決策って…一体、何だ??
うれしいけど訳がわからなくて、考えれば考えるほど混乱していく。
どんな顔をすれば良いのかわからなくなって、視線を下ろした先、キラ先輩の首筋に伏せた。
すると、キラ先輩は優しく髪を撫でてくれて。

「僕、最近ね自分がよくわからなかったんだ。シン君が僕を慕ってくれるのは凄くうれしいけど、人前で抱きついたりするのは抵抗が有って…それなのに、離れちゃうと何だか淋しくて…こんなの矛盾してるよね」

まただ…
そんなキラ先輩の溜め息を否定するように、無言で首を横に振る。
と、今度は笑顔の吐息が聞こえた。

「それで少し悩んでたんだけど、さっき…シン君が僕の膝で甘えてくれてる姿を見て…僕は、シン君が好きなんだって、気付いたんだ」
「っっ…///」
「そうしたら、シン君の“好き”と僕の“好き”は違うかもって、不安になっちゃって。シン君が僕を兄さんみたいに思っているなら、僕の気持ちは迷惑になるから…」
「そんなっ、迷惑なんかっ」

慌てて顔を上げると、キラ先輩はニッコリと笑顔で頷いて言葉を続けた。

「…うん。キスしてくれて、恋人になってって言ってくれて、シン君も僕と同じ“好き”だったんだって判ったら、急に恥ずかしくなっちゃった///」
「ぁっ…キラ先輩…」
「ぇへへっ///」

小首を傾げて可愛く笑うキラ先輩。
こんな人を、俺は…

「キラ先輩」
「なに?シンく…」
「んっ…」
「んん…」

今まで悩ませていた分を埋めるように、精一杯の“好き”をキラ先輩に贈る。
と言っても、経験が無い俺の拙いキスで伝わるかどうかは判らないけど。

「…はぁっ…んっ…」

気持ち良さそうな表情を見ると、少しは伝わってるんだと思う…思いたい。

「はぁ…っ…はぁ…」
「俺っ、キラ先輩が好きだよっ。好き、好き、大好き!だから不安になんかなるなよっ。俺まだガキだけど、キラ先輩を好きなのは本気だから!」
「っ…///」
「だからっ…」
「シ…んっ…」

もう一度キスして、キラ先輩の言葉を止める。
…うん、これが欲しかったんだ。

「…シンって呼んでよ」
「ぇっ…」
「“君”とか付けたら、他人みたいだろ…?」
「ぁっ…そうだね。ふふっ…シン…?」

そう呼んでもらえる、幼馴染みや親友よりも近い場所が。

「へへっ///なに?キラ先輩っ?///」
「ぇっ、僕のことは“先輩”なの?」
「だって、先輩だろ?」

少しだけ見上げる、背伸びが必要な距離。

「それはそうだけど…」

だけど、いつか必ず俺が追い抜いてみせるから。

「…まだ、駄目なんだ…」

俺がキラ先輩よりデカくなって、キラ先輩を軽々と抱き上げられるようになったら…

「ぇっ?」
「ん?キラ先輩、良い匂いがする…クンクン…俺、この匂い好き」
「僕、何もつけてないよ?」
「じゃあ“キラ先輩の匂い”だ、これ…クンッ…」
「僕のニオイ?…それ、汗の臭いじゃないの??」
「クンクンクン…」
「ちょっと、シンっ///止めてよっ///」
「止めない…言っただろ?この匂いが好きなんだ、俺」
「シン…///」

…そしたら“キラ”って呼ぶから。
それまで待っててくれよな?…


-to be continued-
 
 
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