書棚〜種運命@〜

□困惑と不安
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「ねぇ、シン君」

寝心地の良い膝枕でまどろんでいた俺の耳に、優しい天使の声が届く。
膝枕の主、キラ先輩だ。

「…ん…なに…?」

目の前の温もりにスリスリ…頬でその感触を楽しむ。
気持ち良いなぁ、キラ先輩の太股。
スカートじゃないのが残念…って、これじゃザラ会長と同類だって!
危ない、危ない…
そんな事を考えていると、今度は小さな溜め息が聞こえてきた。

「っ…キラ先輩…?」

ゆっくりキラ先輩を見上げると、少し困ったような笑顔で俺を見下ろしている。
ぇっ…俺、キラ先輩のこと困らせてる??
慌てて飛び起きると、今度は目を見開いて俺を見つめて…

「シン君?急に起き上がったら危ないよ?」

いつもの天然ボケな科白だった。

「だって…キラ先輩が困ったような顔してたから、さ…」
「ぇっ、僕が?」

キョトンと俺を見つめる二つのアメジスト。
その奥が、微かに揺れて。
気付いた時には、それを目の前に…キラ先輩の軟らかい口唇に自分の口を押し当てていた。
 
 
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