<新>本編
□†第T章――蒼天の出会い――
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手を伸ばして
必死に縋ろうとするけれど
君には 届かなくて――。
伸ばした手は、空を切る。
【T章 蒼天の出会い】 ―― 5話 「虐げられる者」
次の街でも順調に依頼をこなし、シュリ達は更に東へと進んでいた。
イクエが居る所為か、討伐依頼がかなり楽になった気がする。
やはり、イクエの実力は本物だ。
――それほどの実力を持っても、何も飾らない彼女がシュリにはとても尊敬すべき存在だった。
…天然ドジっ子な所を抜かせば。
そんな訳で。
なかなか順調に討伐依頼等をこなしながら、シュリ達は次の町に向かい森の中を歩いていた。
茂みが多い為とても歩きにくいが、次の町への道のりは此れしかない為贅沢は言えない。
森の茂みを掻き分けながら歩いていると――。
「…あ、れ?」
イクエが小首を傾げた。
「どうしたの?イクエ」
小首を傾げながらも歩みを止めるイクエに、シュリが問いかける。
先を歩くクライムも足を止め、彼女を見ていた。