<新>本編

□†第T章――蒼天の出会い――
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「…貴方達、何者ですか?」

緊迫の空気の中。クライムが少女に問いかける。
少女はその言葉に、刹那男と目を合わせて――答えた。



「いずれ知る事になるでしょう――。だから教えておいてあげる。
  あたしはルナ・ミルティア。こっちがディン・ラグファチア。
  ……組織‘フォールド機関’の幹部リーダー」
「ルナ…ミルティア!」

少女――ルナの言葉に、シュリの眼の色が変わった。


組織‘フォールド機関’。
悪事を働き、街々を壊滅に追いやる組織だ。
――国家機関‘フィリティア機関’が追っている組織でもある。

…そんな組織と、シュリが何か繋がりがあるのだろうか?
眼の色を変えた彼女に、クライムとイクエは益々緊迫感を覚える。


「…今回は偵察と、挨拶代わり。…あたしも深入りはするなって言われているから、深入りはしないわ。
  ――けれど、次に会ったときがアンタの生涯の終わりかもね」

ルナはそう言って、踵を返す。
そんなルナに――シュリが叫んだ。


「私を狙うのは…あの人が関係しているから?!答えて!」

「……半分正解だな」

その言葉に、
今まで寡黙だった男。ディン・ラグファチアが答える。
シュリの言葉にルナが振り返った。――ルナは相変わらず口元をにやつかせている。

「そんなにあの裏切り者が大事?――愛って偉大なのね」
「煩い!」


「……まぁ、そんな事どうでもいいわ。
   また会いましょう。――精々次に会う時までには、まともな戦いが出来るように鍛錬するべきね」

ルナはそう言って、再びその場を歩き出した。
ディンがその姿を追いかける。
2人の姿はやがて、空気に溶け込むように消えて行った――。










――流れる、静寂。


「……シュリさん」

「…ごめん……。今は、話せない…」

クライムの言葉に、シュリは顔を俯かせながら言った。
その言葉にイクエが彼女をフォローする。

「無理に聞こうなんて、私もクライムさんも思っていませんよ。
…誰にだって、話したくないこと、あると思いますから。」
「…うん、ありがと」


その言葉に、シュリは顔をあげて――寂しそうに笑った。


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