イクシオン。それは伝説史上最初の専属殺人者

□Psychological Maze
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「ライラ─!!!!」



運命とは、時として残酷なものさ



《 お前は何者か 》
《 ブックマンとは何か 》






Psychological Maze
(心理的迷路)4






「気をつけてな!!帰ってきたら美味しいパフェ食べに行くさぁ!!」



俺は、いつも通りライラを見送った



「うん!!じゃぁ早く帰ってこなきゃ!!」



ライラも、いつも通り笑って、俺に手を振った。
本当にいつも通りだった。

ライラが任務に出てから1年
俺は、いつも通り見送った日以来、ライラに会っていない
連絡は、最初の1ヵ月を最後に途絶えた
ライラのゴーレムに話しかけても、返ってくるのはノイズばかり

ライラ。

ライラがいなくなってから、俺は心に穴が開いたみたいに、寂しくて堪らないんさ
ライラ…



「情に絆されるな!!」



わかってるよじじい

わかってる

でも、どうしたらいいんだよ
ライラを忘れるなんて無理さぁ

何もかも、あいつが初めてだった

あんなに温かかったのも

心地よかったのも

守りたいと思ったのも

失いたくないと思ったのも

好きだと思ったのも



初めてだったんさ……



“お前は何者か”



俺の中の俺が問いかけてくる


「ブックマンを継ぐもの」



“ブックマンとは何か”



「ブックマンとは歴史の傍観者であり、記録者。世界の裏歴史を書き留め、後世へとつないでいくもの」



“お前は何故ブックマンの道を選んだ”



「語り継がれる人の歴史から除外された史実を、誰も知らないことを知れるから。
それだけで俺はブックマンになることを受け入れた」



だが

教団の中で時間が過ぎていく

俺は自分の笑い顔がウソかホントかわからなくなってきた

じじいの言葉が辛いと、思うようになってきた

人間が馬鹿だってことはよくわかってたのに

どうして、今の俺はこんなに苦しいんだ

どうして、49番目の俺はこんなに苦しいんだ



どうして同じじゃないんだ.


それからというものの、俺は任務の度にライラを探してる

あの眼差しを
あの笑顔を

そして、やっと見つけたんさ
あの後ろ姿を
あの栗色の長いフワフワの髪を



「ライラ──!!」



読んでもライラは振り向かない
人違いだろうか

俺はライラであろう人生の肩を叩いた
振り向いたその人は、

ライラだった



「ライラ!!会いたかったさ!!」



俺は力一杯ライラを抱き締めた
そしてお前から発せられた言葉は…



「ごめんなさい。あなたは誰ですか」



ダ レ デ ス カ …??



残酷な言葉だった



戦争なんか嫌いさ

こうやって、人から大切なものを奪っていく

だから、戦争ばかり起こす人間なんていう愚かな種族、大嫌いさ

いつまでも、争いを続ける人の世界、なんて、大嫌いさ





どうして人の世界から
戦争は消えないんだろう











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