イクシオン。それは伝説史上最初の専属殺人者
□Psychological Maze
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「ライラ、そっちは任せた!!」
2人を取り巻くアクマ達。
「うん!!」
《 オレはこの感情がウソかホントかわからなくなってきた 》
Psychological Maze
(心理的迷路)2
「ライラ、そっちに2体行ったさ!!」
「わかった!!」
背中と背中を合わせる俺達。背中合わせで表裏一体の堅い、信頼。
それはまるで比翼の鳥さ。
そして俺達は呼吸を合わせる。
お互いのイノセンスはアクマへと向けられ、手当り次第破壊するのさ。
風が流れて、大気が震えて、言葉の代わりに全てを伝えてくれる。
それがすげぇ心地いいんさ。アクマが奏でる悲劇の中なのに、終焉の幕開けの中なのに、
心地いい。
“戦争にはまるな”
わかってるさ。
戦いが心地いいんじゃない。ライラと一緒に戦うことが、背中を合わせることが呼吸を合わせることが、心地いいんさぁ。
この気持ちは本当だよな‥‥。
(本当だと言ってくれ)
だってこんなに心地いいんだ。
ライラと一緒にいるだけで、同じものを見て、同じ空気を吸うだけで‥‥。
“たまたまこちら側にいるだけだ”
そんなこと、わかってるさ。だけど、たまたまだけど、偶然だけど、
それでも
ライラに出会ったことは必然であってほしい。
(これを恋と呼ばないならなんというんだ)
ライラ、を、インクに混ぜて文字を連ねる時、胸が張り裂けそうに痛い。
(教えてくれ)
ライラに笑顔を向ける時、いつもの笑顔が出来なくなる。
それとも、この心地よさも、願望も、胸の痛みも、
全部
いつもの笑顔と同じようなものなのか?
「っああ゛ぁ!!!!」
背後から聞こえた悲鳴に、俺の血液は瞬時に凍り付いた。
「ライラ!!!!」
駄目だ!!
やめてくれ!!
俺からライラを奪わないでくれ!!
そして、嫌な汗が一気に吹き出す。
振り向けば、蹲るライラ。
お願いだから、俺からライラを奪わないでくれ。
「ライラ、大丈夫か!?」
俺はいつの間にかアクマを破壊していて、急いでライラに駆け寄った。
「大丈夫。
ちゃんと手当てすればすぐ治る怪我だよ。」
よく見れば、傷は致命傷でも急所でもない。
それをみたラビは、ホッと息をついて、ライラを力いっぱい抱き締めた。
「ラビ‥‥??」
呼びかけても返事はない。
「ごめんね、心配かけて。」
まったく、どれだけ心配したと思ってるんさ。
これだけ心地いいと思ったのは初めてで、
本当に失いたくないと思った
あの瞬間
本当に息が止まるかと思った
お前を失うと思うだけで、こんなに苦しくなる
この苦しみが
いつもの笑顔と同じようなものか
同じとは思えない
いや、思いたくない
でも、もしかしたら同じかもしれない
オレはこの感情がウソかホントかわからなくなった
それでもホントだと信じたい
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