妄想ブック

□X'masのキセキ
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〜1〜
クリスマスイヴの日。私は一人公園にいた。相手のいない私は一人暇で…日が出てるしひなたぼっこを兼ねて公園に来ていた。
ベンチに座りボーと空を眺めていた。空を眺めるのが好きな私は天気のいい日はしょっちゅうベンチに座っては眺めていた。けど今は12月ということもあり少し肌寒かった。
「…ひなたぼっこ…時季間違えたかな…?」
そう思っていると一人の男性が私の隣に座った。
「!!」
彼と目が合い私は一目惚れしてしまった!
(カッコイイ…。)
(若くみえたので…)彼はコートを着ていて首元をマフラーで覆い隠し読書していた。私は空を眺めつつチラチラと彼の方を見ていた。
そうこうしているうちに時間は経ち3時間経過していた。相変わらずの彼と私。彼は誰かを待ち合わせしている様子もなくただ読書をしていた。
そして日が暮れ始め目の前に夕焼けが広がっていた。私はその夕焼けに見とれていた。このベンチで見る夕焼けは絶景なのだ!
そして夕日が沈み辺りはあっという間に真っ暗となった。私はそろそろ帰ろうと思い、隣の彼を見た時、彼は読書を終えていた。一瞬目が合い、声かけられた。
『…今日ずっとここにおるけど…待ちぼうけ?』
「いいえ…。今日天気良かったんで…ひなたぼっこがてら空を眺めに…。」
『ひなたぼっこ…。季節間違ってない?』
「あっ…ハイ。」
私は恥ずかしくなりうつむくと彼はハハハッと笑った。
「!!」
その笑顔はとてもドキドキした。そして私も気になっていたことを聞いた。
「あの…あなたはどうしてずっとここに?」
『…オレ?オレは…。』
さっきまで笑ってた顔は消え、暗い表情になった。
『…待ちぼうけ。』
「えっ?こんな時間まで?」
『・・・・。』
「あっ…ごめんなさい…。」
『別にええけど…。彼女待ってたんや。』
「えっ!?」
『まぁ…もう来ないやろうけど…な。』
「・・・・。」
『…ちょっと前にな、彼女とケンカして…。仲直りしたくて呼び出したんやけど…ダメやった。』
うつむく彼に私は何も言えなかった。けど…ずっとそばにいたいと勝手に思ってしまった。
そして彼は立ち上がり…
『今日は帰る。明日もう一度会えないか聞いてみる。』
「そうですか。来てくれるといいですね。」
『あぁ。ありがとう。』
そういって立ち去ろうとする彼に私は思わず声をかけてしまった。
「あの!!」
『ん?』
「明日もここで待つんですか?」
『あぁ…。ここは彼女との思い出の場所やから…。』
「…あの、迷惑じゃなかったら…明日またここに来てもいいですか?」
『えっ?』
「今日みたいに一緒に待っていたいんです!」
『・・・・。』
ドキドキする気持ちより先にそう言っていた。彼はしばらく黙ると私の方を向き…
『ゴメン…。それはできない。』
「!!」
『彼女が来た時、誤解されるのは嫌やから。』
「あっ…そうですよね…。」
『ゴメンな…。』
私は一瞬泣きそうになったが必死にこらえた。彼には彼女がいる。諦めなきゃいけないんだと…。
するとふわっと温かいものに包みこまれた。気がつくと彼の腕の中にいた。
「!!」
『今日のお礼。ありがとう。』
彼は軽くギュッと抱きしめると去って行った。
彼の一途な想いがひしひしと伝わってきて何も言うことが出来なかった。
「・・・・。」
続く…。
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