トリップ編
□たとえその先に光がなくとも
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第七章 荒れた日常
午後の日差しが麗らかなグランコクマ。
私が陛下の護衛の依頼についてから数日が経った。その依頼がつつがなく進行しているのかというとーーーー
「あ、颯さん!ちょうどよかったわ。これ陛下の午後のお茶なの。持って行ってもらってもいいかしら?」
「あ、はい。構わないですよ。」
「颯さんのカップもあるからね、ふふふ。」
「ど、どうも......。」
「あら、颯さん。毎日陛下の寝室のお掃除任せちゃって悪いわね。」
「いえ、これも仕事のうち...(だと思います)ですから。」
「ホント、颯さんがきてから助かるわ。」
上の会話からわかるように、私は何故かメイドさん達と異様に仲良くなったのだ。(兵士達からは相変わらず嫌われているようだが)
というのも、私の毎日の生活に問題がある。「陛下の護衛」という名目で任務についたはずなのだが、私がやっていることと言えばーーー
1.陛下の仕事放棄&脱走の監視
2.陛下のお茶の話し相手
3.陛下の部屋の掃除
4.ブウサギの散歩と世話 etc......
って私はガイか!?
確かに四六時中陛下のそばにいるけど、これじゃ護衛じゃなくてお世話係だ。
はあ〜私は何をしてんだろうな.....。
「ん?どうした、颯。ため息なんかついて。幸せが逃げていくぞww」
「そのため息の原因が8割方貴方であるということを自覚してくれませんか?」
「失敬だな。俺はそこまで面倒をかけてはいないぞ。それより、最近お前ジェイドのしゃべり方に似てきたな。なんか嫌だぞ。」
「それは私も本気で嫌ですね。奴に似るなんてあまりにも不本意です。」
「ほんと仲が悪いなお前ら....。いや、そこまで悪いと逆によく見えてくるな....。」
「陛下。このあっつあつの紅茶ブウサギ達が飲みたそうに見てんであげていいですが?」
「いやいやいや、待て待て待て!ブウサギは紅茶なんか飲まない!ってかポットのまま流し込もうとするな!!」
これが、大体の私の日常の一部である。
なんか円形脱毛症になりそうな......。