Juliet castle

□きっかけは手作りから
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「舌、平気か?」

向かいの席に座った阿部くんが身を乗り出してくる。

「ふ、ふん・・・」

熱々のグラタンをそのまま一口食べようとしたら、こうなった。

「火傷してないか、見せろよ」

無理矢理口を開かれて口内を覗かれる。

「平気、みたいだな。気をつけろよ、ったく」

ドジなんだから、と悪態をつかれてしまう。

間が気まずくなり、傍にあったコップの水を飲み干して阿部くんの様子を見る。

「あっ、阿部くんのてっ、手作りだから冷めないうちに食べようと思って・・・っ」

「三橋・・・」

今日は俺の母さんも父さんも出張中だから、阿部くんを招いて夕食をとっていた。
しかも阿部くん手作りのグラタン!なのである。
それを無駄にしないために、ちょっと焦ってしまっていた。

「俺、すっごく嬉しくて・・・」

「・・・・」

「阿部くんて、何でも出来るんだね。グラタンなんか俺作れないよ」

「・・・・・だからな」

「?」

「三橋の、好物だからな。練習してた」

それって、阿部くんが俺のこと・・・・・

「三橋、食った後に少し話がある」

いつものように素っ気無く阿部くんが言って、会話はしばらく途絶えた。
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