Juliet castle
□His Sweetheart
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獄寺はたった一人で、彼の故郷・イタリアの片隅にある岬に居た。
左右に限りなく細く伸びた地平線へ日が暮れようとしている。
彼が人気のない寂しい場所に訪れたのには理由がある。
目の前には、斜陽に照らされた一つの墓。
遠い彼方の海を見やりながら、彼は想いを馳せる。
握り締めた手中の小さな花束は、吹きつける潮風で揺れていた。
「親父・・・・・・」
つい先日、亡くなった父。
獄寺の目の前の墓の主は、彼の父親であった。
「結局、親孝行なんかした事なかったな」
虚しく海風に掻き消されていく自白。
「そんな俺だけど、明日から正式にボンゴレファミリーの一員になります」
「だから、またしばらくはここに来ません」
目頭が熱くなる前に、獄寺は岬をあとにした。