Juliet castle
□S.i.g.n
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午後練後。
「準サン、一緒に帰りましょー」
ね、と利央がダウンを終えて部室に来た準太に話しかける。
「ん、ああ。」
準太はそっけなく返事をすると、練習着を脱ぎながらシャワー室へ向かう。
「じゅ・ん・さ・ん!」
俺の話聞いてる?
「あー聞いてるってば」
ちょっと待ってろよ、と自分のフェイスタオルと制服を右手に抱え左手で手を振りながら準太は個室へと消えた。
「さっさと入れよ準太!鍵閉めらんないからな」
「そうだぞ準太ァ、一分で戻れよ」
「和サンも慎吾サンも、んな無理っス!いいっすよ。俺、鍵閉めておきますからっ」
個室から、準太は慌てた声で叫ぶ。
「俺達ちょっと用事があるから、今日は頼むぞ。鍵は隅の机の上に置いておくからな」
和己をはじめとする三年生は進路の関係で、この後職員室に用事があるのである。
「俺もちゃんと鍵閉めますよっ和サン!」
「ばっか、お前に任せられるかってえの!」
無邪気に言った利央は慎吾にばっさりときられた。
「おいおいあんまり言うなよ慎吾。ほら行くぞ」
「ちぇ・・・とにかくまた明日な、皆」
部室に残っていた他の何人かの部員が口々に『さようなら!』とか『あざーした!』と告げる。
「俺ってそんなバカなのかなぁ・・・」
利央はそんな中で一人、さみしく呟いた。