Juliet castle
□Happy Our Holidays!
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昼休み、阿部は三橋を教室から連れ出して部室へ召喚する。
「三橋、こっち来いよ」
「な、に、阿部くん?」
「目ェ瞑れ」
「え?」
「ホラ、早く」
阿部のイラッとしたオーラが感じられて、三橋は心の中で縮みあがる。
「う、んっ」
かさり、と三橋の細い手に載せられた紙片。
「コレ、新幹線の往復切符。軽井沢だけど」
「?」
「誕生日のプレゼントって考えつかねェし、買いに行く時間もなかったし・・・。貯金があったから、軽井沢までの小旅行にした。二泊三日しかねえけど」
「プレゼント・・・?」
三橋の色素の薄い、きれいな瞳が大きく見開かれる。
(お前以外の誰の誕生日を祝うんだ、この俺が。)
「こん、な高い、のもらえない・・・よ」
(突っ込むトコ、違うだろ)
「ま、かなり高くはついたけど」
”三橋といられる時間ができるんなら、俺はその方がいい”
ちゅ。
「っあ・・・べくん、恥ずかしいって、ば」
柔らかい唇に触れる度、甘い声を上げる三橋が愛おしくてたまらなくて、阿部は腕の中に彼を包み込む。
これから一年が、かけがえのない一年になることを願って。