anoter

□死期選択
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とうとう終焉の時が来てしまった。

鏡を割ったら血が出た。




*****




タミヤの背が伸びた。
少し前までは大して差は無かったはずなのに、今では少し首を上げないと目線があわない。
体躯もよくなって、高校生たちに近づいている。

ゼラは忌々しい、と言っていた。
ゼラは未だに華奢で少年の体躯を維持している。
いや、ゼラは一生変わらないのだと思う。少年のまま、一生を遂げるのだろう。
美しい少年時代で幕を閉じるのだろう、ゼラの事だから。

しかして僕は。


「ねぇ、ゼラ」

二人以外居なくなった基地の中はまるで墓穴。
ゼラは微笑を浮かべて振り返った。

「ねぇ、ゼラ。」

左胸がどかどかと容赦なく鳴る。

「お願いがあるんだ。」

ゼラは唇を寄せてくるのを拒まず、冷たい僕の唇を重ねさせてくれた。

あぁ、優しいゼラ。
僕を愛でて。

醜く変わり果てる前に、僕を愛して。
死を恐れるこの憐れな心臓を貫いてほしい。
少年の姿のまま、美しい一生を終えたいのに。

どうしてこんなにも手が震えるの。



あぁ、ゼラ、おねがい。

「僕を殺して」



*

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