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□死期選択
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とうとう終焉の時が来てしまった。
鏡を割ったら血が出た。
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タミヤの背が伸びた。
少し前までは大して差は無かったはずなのに、今では少し首を上げないと目線があわない。
体躯もよくなって、高校生たちに近づいている。
ゼラは忌々しい、と言っていた。
ゼラは未だに華奢で少年の体躯を維持している。
いや、ゼラは一生変わらないのだと思う。少年のまま、一生を遂げるのだろう。
美しい少年時代で幕を閉じるのだろう、ゼラの事だから。
しかして僕は。
「ねぇ、ゼラ」
二人以外居なくなった基地の中はまるで墓穴。
ゼラは微笑を浮かべて振り返った。
「ねぇ、ゼラ。」
左胸がどかどかと容赦なく鳴る。
「お願いがあるんだ。」
ゼラは唇を寄せてくるのを拒まず、冷たい僕の唇を重ねさせてくれた。
あぁ、優しいゼラ。
僕を愛でて。
醜く変わり果てる前に、僕を愛して。
死を恐れるこの憐れな心臓を貫いてほしい。
少年の姿のまま、美しい一生を終えたいのに。
どうしてこんなにも手が震えるの。
あぁ、ゼラ、おねがい。
「僕を殺して」
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